アンケートは、その特性を知っておかないと予期しない結果を生み出すことがあることは、何度も紹介している。裏を返せば、アンケートの特性を知っていれば期待する結果に近づけることも可能である、ということも忘れてはいけない。「近づけることも可能である」というのは、必ずしも「期待する結果にする」ことが出来る訳ではないからである(例えていうなら「戦争は悪ですか」というアンケートに対して、意外と「悪と思わない」回答が多かった、するデータを得ることはできるが、「悪ではない」という結果をもたらすには無理がある、ということである)。

アンケートを実施する目的というのはたいてい二つあり、そのどちらかである。一つは誰でも知っているとおり、「広く意見を収集する」ということにある。ただ漠然と情報が何もない状態から、アンケートでデータを収集することによって一定の道筋をつけることである。例えば自社の食品をより売れるようにするため、その味がどの程度受け入れられるかを知りたい場合などは広く意見を収集するだろう。

もう一つアンケートを実施する目的がある。それはある理論に対しての裏付けを取ることが目的である。裏付けを取るためにアンケートを実施しているのだから、少なくともその裏付けがくつがえってしまうようなデータが集まってしまっては意味が無いのである(そもそも無理な理論は、一番最初に述べた戦争の例のようにどうやってもくつがえってしまうのが関の山であることはいうまでもない)。

良かれ悪しかれ、アンケートは上記二つの理由で実施される。今後数回にわたり、後者「意図に近いデータを収集する」ためのアンケートの特性について紹介していくことにする。

アンケートを作成するための手法の一つ。複数ある対象物に対して、それぞれの選好度の順位付けをするための手法である。具体的には複数の対象物から2つを選択し、どちらがより上位の順位かを回答させ、それを全ての組み合わせについて実施する。

設問例:

いろいろな肉の組み合わせにおいて、あなたの好きな肉を選択してください(調査対象となる肉は「牛肉」「豚肉」「鶏肉」「羊肉」です)。

「牛肉」と「豚肉」 牛肉 豚肉
「牛肉」と「鶏肉」 牛肉 鶏肉
「牛肉」と「羊肉」 牛肉 羊肉
「豚肉」と「鶏肉」 豚肉 鶏肉
「豚肉」と「羊肉」 豚肉 羊肉
「鶏肉」と「羊肉」 鶏肉 羊肉

アンケートを作成するための手法の一つ。ある設問に対して複数の選択肢を用意し、回答者の嗜好と選択肢のマッチ度を順位付けして回答させる。すべての選択肢に順位をつける場合もあれば、上位のみ順位をつける場合もある(後者のほうがより一般に用いられている)。

設問例:

あなたはなぜこの商品を購入しましたか。下記より該当すると思われる項目を上位3つまで選択してください。

第1位
第2位
第3位

アンケートを作成するための手法の一つ。対象物を評価するために、評価するための複数の短文を提示して回答させる。短文には尺度が提示され、その尺度により、提示された短文に対して積極的に賛成か積極的に反対かを測定するために使用する。

設問例:

山田さんに関してあなたの評価を教えてください。

賛成する やや賛成する どちらとも言えない やや反対する 反対する
強情そうだ
のんびりしている
涙もろい人だ
困ったときに助けてくれる

英名semantic defferential scale method。意味差判別法ともいう。

アンケートを作成するための手法の一つ。「高い-低い」や「好き-嫌い」などの反対に相当する形容詞の対を使い、特定の対象物に対してのイメージを5段階や7段階の尺度で評価する方法。特に複数の感覚的刺激(色彩、手触り等)による印象を定量化する際に用いる。

設問例:

あなたはAレストランの各メニューについてどのような印象を持っていますか。最も適当と思われる項目を選択してください。

商品名 すごくおいしい おいしい 普通 まずい すごくまずい
オムレツ
ハヤシライス
ビーフシチュー
ハンバーグ