予備調査という言葉をお聞きになった方も多いでしょう。しかし「予備」という言葉こそ使っていますが、おまけの調査ではありません。本来は事前調査やテスト調査といったほうがしっくりくるでしょう。
アンケートはデータを収集するための手段ですが、大抵の場合1回のアンケートだけでは上手くいきません。それはアンケートの設問の作り手が少人数(たいていは一人)であるのに対して、回答者が多人数であるからです。回答者が不特定(でない場合もあるが)多数なので、設問作成者は、それら回答者がどのような挙動をとるかわかりません。だから回答のクオリティもわからないわけです。
アンケート実施者は、データのクオリティが高いことを期待しているので、できれば「適当に回答した人」を除外したいはずです。そのために予備調査を実施することが多いのです。これを「フィルターにかける」とか「ふるいにかける」「フィルタリングする」といいます。
適当に回答した人を除外するためには、予備調査において設問の中にトラップを仕込むことがあります。同じような内容の設問を、言葉を変えたり、選択肢の順番を変えたりして、複数紛れ込ませます。真面目に設問を読んでいる人であれば、設問の文言は変われど同じ選択肢をチェックするはずですが、適当な回答者は場当たり的に答えているので、異なる選択肢をチェックすることも多いのです。このようなトラップを仕込んでおけば、適当な回答者をフィルタリングすることができるのです。
また「ターゲッティング」ということもあります。ターゲッティングとは、アンケート回答者を特定の要素を持つ人に限定することです。例えばアイドルグループに関するアンケートを実施するのに、そもそもアイドルに興味を持っていない年齢層(例えば高齢な方とか)を対象にしてもマーケティング的には意味が無いでしょう(別の意味で重要かもしれませんが)。たいていは10代から20代前半に答えて欲しいはずです。こんな時は予備調査で年齢をきき、その他の回答如何に関わらず、ターゲットとなる年齢層を本調査に採用するのです。
予備調査を実施するもう一つの理由があります。アンケートの回答を自分が意図する方向にもっていきたい場合です。行為の良し悪しは別として、予備調査を実施すれば、回答者が考えるおおまかな傾向が見えるはずです。例を挙げてみましょう。例えば予備調査で争いごとを好むか好まないかを調べます。本調査で戦争反対に関するアンケートを実施すると仮定します。アンケート実施者が「戦争反対を全面に押し出したい」と意図するなら、予備調査で「争いごとを好まない」回答者を抽出し、それらの回答者に対して本調査を実施すればよいのです。全てが戦争反対の意見とならないにしても、比較的反対する意見が多くなりそうなことが見えています。このような用途にも使えてしまうことを考えると、一般の市場調査がどういう意図をもってなされているか、非常に不安に感じることもあります。
予備調査は効率よい調査のために必要な「事前調査」なのです。